2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

2015-07-29

何もかもを諦めないし、手放さない。そういうのは、贅沢かな。贅沢なのだろうな。贅沢のためには対価が必要で、何もかもを手放さないための時間と、(精神的、肉体的)苦痛。 それを越えた先のものを夢見る。美しいと思っていたその先が醜いだけの世界だった…

2015-07-25

言葉はいつまでもどこまでも不自由で、思いだけが先に立ってはそのずっと後を遅れてついてくる。ついてきてくれる時はまだいいけれど、ずっと後ろでぽかんと立ち尽くしているときだってある。 だれにもほんとうのきもちなんて言わずに、一息に逝ってしまえた…

2015-07-24

椅子に座って天井を見上げると、おもっていたよりもそれはずっと高かった。部屋の内側からベランダに向けてゆるやかに傾斜がかかっている。 今の部屋で一番気に入っているところはオートロックでもなく、24時間ゴミ出しできることでもなく、この天井だろう。…

2015-07-23

だいじょうぶだよ、かあさん、大きくなったら、ぼくが世界中に連れていってあげるから。そして、母の手をとって踊る。音楽は、もちろん、ワルツだった。くるりと大きく輪をえがいて一回転するたびに、息子はひとつひとつ世界の都市の名を母親にささやくのだ…

2015-07-22

朝から雨。梅雨明け直後の雨はしとしとと。羽が舞うようにふわりと雨粒は舞う。電車はうみねこの声をあげる。 言葉を喪っていく。私は徐々に言葉を忘れ、ついには何も話すことができなくなる。もうすでに人が何を話しているか、理解できなくなっている。わか…

2015-07-20

矢も盾もたまらず、外へと飛び出した。外へ出たかった、というよりも内的に引きこもりたかったから。このままここへいたら狂ってしまうというような予感がしたから。朝だって早く起きることができたから、大原のマリアの心臓に行ってもよかった。会期は今日…

2015-07-16

「嵐が来る前に」 波がうねり、霧のように細かい飛沫が吹き付ける。場違いにもその光景を美しいと思ってしまった。途中、車を止めて荒れる海を目に焼き付ける。 写真にも収めようかと思ったけれど、それはやめた。残しておきたくない感情があるように、残し…

2015-07-12

いつの間にか夏の最中にいた。季節に鈍感になっていきたくなくて、昨日の夜はベランダに出て冷め切らない生ぬるい風を受けていた。暗いと思っていた夜空は明るくて、雲の動きがよく見えた。 大学1年の夏の夜、似たようなことをしていたことを思い出す。その…

2015-07-09

帰り道、電車に揺られながら「太陽が流れだしたような」夕焼けを眺めていた。 地平線のそのむこう、焼き払われた空は幻想的で、遠かった。どうしてこの風景を誰とも共有できないのだろう。すこし、悲しくなった。 ゆっくりとまばたきをする。シャッターを切…

2015-07-08

「どうだ、京都ぐらしは」 唐突に、ショートメールが届く。名古屋にいたとき、よく通っていたお店のマスターだ。 大変です。とても、とても。私の周りの人はいつも苦しんでばかりです。いつその糸が切れてしまうかわからないままで、懸命に生きているひとば…

2015-07-01

何年か前からずっと雪の最中にいるような気がしている。目線を上げてみればそこは真白な雪原で、雪は吹雪いたり、舞ったり、その時どきで表情を変える。 階段の窓から射す光が雪の日のようだった。空虚に響く靴音が雪の日のようだった。雪の日の光は眩い。雪…