2018-1-30

お酒なんて、一滴だって飲めやしないのにワインを買った。1度そのワインセラーの前を通り過ぎて、スーパーに行って、わざわざ道を引き返して買ったのだから、衝動買いというよりも強い意思を持って買った、のだと思う。

家に帰ってコルクを開けるのに30分くらい戸惑った。コルク抜きは幸いアーミーナイフについていたからそれを使った。ねじ込んでみてもコルクはびくともしなかったから、お手上げだった、どうすればいいかわからない、という体験を久々にした。

ネットで検索すると、瓶を横に倒すといいとあったのでそうした。それでしばらく倒したままにしてからもう一度やってみると簡単に抜けた。なんだこんなものか。

 

注ぐ、飲む。グラスいっぱいものまない内にふらふらになった。視界が歪んだ、何一つ楽しくない。

ワイン好きな人がみたら怒るだろうけれど、そのあと、ワインを沸騰させてアルコールをできるだけ飛ばした。ミルクパンに注いだ量の半分以下になっていた。

砂糖もスパイスもなにも入れなかったから葡萄の渋みだけが浮いて、いつまでも口の中に張り付いた、顔をしかめながらのんだ。

 

保険の営業のようなものを受けながら、相手の目をそういえば私は一度たりとも見なかった。もともと人の目を怖いと思いがちな私だけれど、それでも見れなかったという体験は珍しいように思う。相手の顔がまったく思い浮かばない。もしかしたら目の下にものすごいクマがあったかもしれない、頬が痩せこけていたかもしれない。それもわからない。なんだったら相手が人間でなくても、吸血鬼とか、熊とかでも多分気がつかなかった。そうすることでしか自衛ができなかった。

 

もう二度と、一人でワインを飲むこともお酒を飲むことも、きっとない。