2013-11-16 15:53

新幹線がでる数時間前に家を出た。 少し、町を歩いておきたかったから。 この県で一番おおきな駅で降りると、休日にも関わらず 人はまばらで、そのあまりの少なさに不安になったりもするのだけれど これからもどうにかこのままであって欲しいと願う自分がいることも 強く感じていた。 無感情でいるにはあまりにも思い出がおおくて、 通る道一つ一つで蘇る記憶がある。 その多くはほんとうに小さい頃の記憶だけれど、それから書き換えられることもなく 意外なまでにも鮮やかなままだ。 年を経ても彩度は変わらないどころか、いっそうに高くなる。 それは偽りの色でも何でもなくて、同じ場所で記憶を重ねつづけたという事実の結果のように思う。 川原を歩く。 その川はまだ汚れを知らず、町の中心を堂々と流れている。 お昼を過ぎて傾きはじめた陽の光はさらさらと水の流れに身を任せていて、すこしだけ、眩しい。 落ち葉を一枚だけ拾う。 川に放して、水の速度にあわせて、また歩き出す。 ひとりと、いちまいで一緒に。 ああ、時間だ。 僕はもう行かなければいけない。 葉は、そのまままっすぐに。 僕はその道を南に。 どうかそのまままっすぐに進んで欲しいと願う。 僕は、あの葉に何を見た?

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