2015-07-01
何年か前からずっと雪の最中にいるような気がしている。目線を上げてみればそこは真白な雪原で、雪は吹雪いたり、舞ったり、その時どきで表情を変える。
階段の窓から射す光が雪の日のようだった。空虚に響く靴音が雪の日のようだった。雪の日の光は眩い。雪の日には室内の音がよく響く。
夏がくる、とあちこちで叫び声が聞こえる。そんなに声高に叫ばなくとも、大丈夫、そのことは知っている。けれど、夏の最中に私の目は雪を映す。心象風景ではないのだと思う。巡る季節に、そっと手を離されて迷子になってしまったようだ。
「暑いですね」と一言、言えてしまえば誰にも変な顔をされないさ。