2013-08-14 19:59

こっそりと線香花火を買ってきた。 そうして、あとで一人でひっそりと庭で灯そうと思っていた。 夜になり、夕食を食べ終わり、だれもいなくなった頃を見計らって外へ出た。 すでにライターと蝋燭はポケットに忍ばせておいていた。 庭先で蝋燭に火を灯す。 花火をそっと近づけて、その散る音を楽しむ。 火薬の匂いも何処か懐かしい。 いつの間にか、母も隣りに座っていた。 二人で、ぽつ、ぽつ、とどうにもならないことを話しながら、 散る花びらを見ていた。 そのうち、祖母も庭へと出てきて、その様子を見つめていた。 3人で特に何を話すでもなく、「綺麗だねぇ」とだけ言いながら、 じっと夏を感じていた。 欠けてしまった、家族になろうとしていた人の話はせずに、 3人で完結しようとしていた。