2013-10-11 22:35

森に住む動物たちは「にんげんはいいな、そんなに楽しそうに笑うんだもの」、と人が笑う姿をとても嬉しそうに眺めていました。 そんな動物に囲まれた少年は、また、笑います。 森からの帰り道、少年はお父さんにその話をしました。 「みんなね、僕が笑うところをみて、それがいいって言ってくれたんだ。」 「うん、笑うことはとてもいい。お父さんも君みたいに笑えたらなあ。」 この言葉でこの物語は閉じられた。 子どもの時にこの本を読んでいたら、動物たちと話すと言う、それだけでわくわくしたかもしれない。本当にこの世界があると信じていたかもしれない。 中学生の時に読んでいたら、笑うことなんて、と言いながらもその裏ではたくさん笑おうと思ったかもしれない。 今この物語を読んだ私は笑える自分に安堵して、泣いてしまう自分を不思議に思った。 これからずっと先、この物語を読み返したら、また笑いたいと思うかもしれないし、いつかの自分のように、或いはそれ以上に笑えている自分を誇らしく思うかもしれない。 ところで今の私は、頭の片隅で森の動物たちに囲まれてどうでもいいような話をする世界を信じている。