2019-05-07

物語を書くということは自傷行為の一種のようだと思う。何かを書くということは、大体流れている血を文字にして写すようなもので、その傷口がふさがって、忘れてしまわないように、えぐっては文字を引きずり出す。

本当はこんなことをして書く必要なんてないのかもしれない、かもしれない、というよりもないのだと思う。それでも、どこに出すあてのない話でも、私は血を流していたい。血を流すことをやめたら、それはいつかの私への背信行為となってしまうような気がして。

私は、何もできないんだ。絵だってかけない、歌をうたうこともできない、誰かを器用に笑わせることだってできない。それに心血を注ぐことができない。けれども、言葉を記し続けることにはいくらでも血を流そう。それが約束だから。