2018-2-14

とおく、水平線が光って見えた。瞬いて、瞬いて、そのたびに目を細めた。砂に描いた下手な絵は波が寄せるたびに消えて、それだけのことがどうしてか、面白い。

よく海に行くようになった。山あいの町で育ってきたから、海は遠いものだったけれど、いまはこんなにも近い。ずっと向こうの工場群がまるで蜃気楼のように揺れながら海面に浮かぶ。

木の枝を手にとって、海へ放り投げる。何度か波に押されて戻ってきて、そのたびに遠くへ遠くへと投げる。別に枝に何を重ねるわけでもないけれど、手の届かないところまで行ってほしかった。しばらく海岸を歩いて、振り返ると見えなくなっていた、よかった。

 

海風が頬に心地良い、言葉の隙間を静かに埋めていく。優しい表情ができていたらいいと思う。そのように私は、願ってみる。

 

見渡す限り、まっしろな海。光に照らされて目を細めずにはいられない。海を見るたびに空に近い場所だと思う。境界線上を見る私達もまた、境界線上に立っている。

遠くに行けると信じさせてくれる海が、好きだ。

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