2017-6-15

「あなたはなにかになりたかったのね」
そう言われたのは夢の中だったか、それとも現実だったのか、もう覚えていない。
どちらでもよかった。夢の中でも、現実の中でも。夢も現実もそこでの実態は曖昧だ。

どこであっても、私は何かではない。

川沿いを歩いた。対岸の灯りを映して揺れていた。最近、夜光虫が話題になっていたけれどきっと、今日のひかりかたも揺れ方もそんな感じだ。空は明るくて、低い雲が追いつけないほどの速さで流れていた。遠くの高層マンションを飲み込んでしまうんじゃないかと思ったけれど、だいじょうぶだった。

雲の切れ間から星がひとつだけ見えた。本当はもっと見えていたのかもしれなかったけれど私の目にはそれしか映らなかった。最初は飛行機かと思った。明るい空の中にあってあんまりにも明るくて、移動しているように見えたから。

けれども動いていたのは雲だけで、明るいのはその星がその星であったからだった。

私は、なにになりたかったのだろうか。なにに、なりたいのだろうか。

目を閉じれば声がする。

「あなたはなにかになりたかったのね」

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