2016-09-26

ひと駅分、歩くことにしている。

光が通り過ぎていく道で、手を後ろに組みながら、通り過ぎていく人たちを眺めて、きらきらとひかる街を眺めて歩くことはとても楽しい。

歩く速度で思考する。流れる曲のこと、今朝読んだ文章のこと、少しだけ昔のこと、あるいは未来のこと、見えている景色について、京都を泳ぐミルク色の金魚、遠くのこと。

歩く速度で思考する。その速さでしか物事を考えられないから。不意にこの時間を失わなければ大丈夫だと思うことができた。考えるために歩くということは誰にも理解されないかも知れないけれど(今日だって、凧揚げをしたいと言ったり、価値観のようなものを話したら不思議な顔をされてしまった)、私にはこの時間が必要でその事実だけが必要だった。

 

金木犀がそう言えば香った。

じゃあ、もう、金木犀の香水はおしまい。