2016-08-22

何年ぶりかに、関東に台風が上陸したという。

ビルの中に閉じこもっている間に、それは通りすぎてしまったけれど。まだを打ち付ける雨粒がうるさかった。だれもその音を気にしていなかった。キーボードをたたく音に次第にそれは混じっていった。

18時過ぎには雨も上がって、外の風景は一気に変わった。雲と雨で覆われていた視界が一気に晴れて、昔、何かの図鑑で見た恐竜たちが生きていた時代、恐竜の背景にあったような夕焼け空が広がっていた。

仕事を抜けだして、慌ててエレベーターで下まで降りて、外へ出た。けれども今度はビルに阻まれて暮れる空は見えなくなっていた。

 

帰り、電車はまだ止まっていたから少し遠回りをして帰ることにした。街の風はどこもまだ湿っていた。普段行き慣れない駅をふらふらと歩く。たい焼きを一つ買う。ゲームセンターに寄ってみる。なんとなく灯りのある方へ寄っていく。人の声がすれ違うたびに聞こえてくる。歩くほどにひたいに生ぬるい風が当たる。

季節が少し変わる。