2016-03-17

長い冬の先の春に、また今年も近づいて、朝のふわふわとしたひかりだとか、昼の目を細めたくなるような風だとか、夜のあまやかな香りだとか、身体の記憶が呼び起こされるようで、この季節は気持ちが落ち着かなくて正直好きだとは言い難いけれど、迎えるたびにまた辿りつけたというような感慨がある。

 

何処かへ、何処かへ。いつもそう思っているけれど、いっそう、それが強くなるのもこの季節で僕はどこへだって行けるはずなのに、生きることだけで精一杯でどこへも行こうとしない自分に苛立ちを感じてしまうような、思いがある。

ビルが立ち並ぶ中で思い描く海辺や、静かな電車の揺れ、あることは知っている、届かない遠くの風景。

多分、選ぶ権利はある。いや、多分じゃない。選ぶ権利は間違いなく手の中にあってけれどそれを行使することを躊躇っている。自由を縛る要素。挙げていけばきりがない。きりがないから、挙げないことにしている。まとめて喰いちぎってしまえるように、その先へ駈け出していけるように、そうやって精一杯の毎日を精一杯生きる。

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