2015-09-01

汀の夜がやがてやってくる。雨とともに、あるいは、色づいた空気とともに。

やがて街を夜が覆い、ざわめきは遠のいていく。波が引いていくような秋の静けさだ。

「どうか何者もこの密やかな夜を侵しませんよう」呟く声はその形をとるまえに霧散して、静けさの一部へと溶けて、離れていく。

 

強くなりたいと、それはずっと昔から願っていたことで。でもあまりにも難しいことに気がついてしまった。前に進まない脚で、重い呼吸で、下がる視線で、それは弱さで。この一瞬だけ、この一瞬だけ、そう誓って、脚を上げて、呼吸をして、混沌とした世界と正面から対峙する。

果てのないと思ってしまいそうな道の先に、どうか、と祈りながらもう一度歩を進める。

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