2015-07-22

朝から雨。梅雨明け直後の雨はしとしとと。羽が舞うようにふわりと雨粒は舞う。電車はうみねこの声をあげる。

言葉を喪っていく。私は徐々に言葉を忘れ、ついには何も話すことができなくなる。もうすでに人が何を話しているか、理解できなくなっている。わかったふりをして(相手の息継ぎのタイミングや唇の動きを見ていれば、言葉の終わりはわかるから)頷いているだけだ。

何を話しているのかわからない音を聞くのは怖い。ただのノイズが休むまもなくどこからも降りかかってくる。言葉を忘れてしまったから、助けを呼ぶこともできない。

バスの中にはたくさんの願い事が吊るされていた。「まほうつかいになってつよくなりたい」下手なひらがなで書かれたその願いを20分、ぼんやりと見つめていた。

頭の片隅では名古屋を発つときにずっと年上の友人に言われた言葉を思い出す。「鈍感でいなさい」

ごめんなさい。ごめんなさい。