2015-06-09

ごくごく小さな声で歌を口ずさみながら手紙を出すために散歩に出かける。逃げ出してしまおうか、とその歌は私をそそのかす。このまま線路沿いを歩き続けていったら、どこか遠くへたどり着くのだろうか。電車は目にも留まらぬ速さで通り過ぎて行く。あの人達の多くはきっと家へと帰るのだろう。その他の何人かは、想像の及ばぬほど遠くへの旅路の途中なのかもしれない。

それを夢想したところで、ただそれを見送る私の立場は何一つ変わらないけれど、今この世界でどこか遠くへその足を向けている人がいることを心に留めておくことは自分にとって必要なことのような気がしている。

戻る道、もう一度同じ曲を口ずさむ。まだ逃げ出さないよ、もう少し、もう少し、そう思いながら逃げ出してしまおうという歌詞を空気に溶かす。

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