2015-05-28

「彩度が高い空だねー」

2年前、先輩の何気ない言葉が、あの日と似た空を見る度に思い出される。大学の図書館前、学校のカフェで買ったお弁当を片手に歩く道。

研究室に入ったばかりで、身の振り方も、そこで仲良くなる術もわからなかった頃。

「君はうまくやれると思うけれどね」

どこへ行っても、それを言われます。先輩。

「自分の目標があって、それに至る努力をしているのならそれで十分」

そうでしょうか。そうなのでしょうか。そうしてそれが認められる場所もありました。けれども、全てがそんな場所なのでしょうか。

 

結局、その話はどのように落ち着いたのか覚えていない。曖昧に笑ってごまかしたか、お昼休みの時間が終わって有耶無耶になったか。

 

覚えているのは目を開いているのも眩しいほどの濃い緑と、空の青。図書館前の池の照り返し。風が吹いて揺れる、ひかり。

 

私が私でいるためにはひどい覚悟が必要だ。それは今まででも経験しなかったほどの苦しみを得ることになるかもしれない。息切れだって、してしまうかもしれない。振り返った時に何も見えなくなってしまっているかもしれない。それでも手放したくない私は遠い風景の中で今でも無表情で、違う、そうじゃない、表情を作ることができずに(このほうがより正しい)、手を差し伸べ続けている。