2013-10-24 00:13

変わらないものはなくて、 それは町でも同じで。 何年かぶりに以前住んでいた場所を訪れると、住んでいた棟だけでなくその辺り一帯の団地が全て更地になっていた。 100メートルほどの道路は両側を高い白壁に囲まれて、どこか現実離れした光景だった。 今年度末から新しいマンションを建てるための工事が始まるらしい。 3年ほど前にここを訪れた時には既にその古さが際立っていて、そのときからなくなってしまうような予感はしていた。 人生の中で一番楽しかった3年間。 その形あるものがなくなってしまった今、これから先時を経るほどに記憶はただただ美しくなっていくのだろう。 それでも少し寂しいと感じてしまうのは、当時、家を早めに出て、抱きついてその温もりを得ていた名前も知らない木もなくなってしまっていたから。