2013-09-21 22:37

数日の間、所用で札幌で過ごしていた。 札幌に行くのは2回目で、初めに訪れたのは幼稚園の頃だった。 一番古い、そして一番鮮明に覚えている家族旅行の記憶かもしれない。 9月の札幌はもう冬の香りがして、そっと心の中で笑っていた。 冬は、一番好きだ。冬が、一番温かい。 会場で発表を眺めていると、そこに恩師の姿を見かけた。 相変わらず細縁の眼鏡に、短い髭、色素の薄い目を細めて、静かに佇んでいた。 声をかけるとこれもまた変わらない淡い笑顔で私を迎えてくれて、どうしようもなく 安心した。変わらないということはどうしたって難しい。 そのまま、先輩とも合流してお夕飯を食べにいく。その間に話をした。日本で定着しない海外の行事のこと、今回の発表のこと、先輩の就職のこと、大学に残った子たちのこと、札幌はもはや一つの国であるということ。 書き出せばくだらないもののようだけれど、それはその光景とともに強く焼き付いている。 本当は、もっとたくさん話したいこともあったけれど、自分の中で整理ができていないことや、勇気が出なかったこと、どう頼ればいいのかわからなかったこと、そんなことたちが頭を渦巻いて近況に関しては「変わらず、元気でなんとかやってます」という一言に逃げてしまった。 言いたいことを言うのが、一番、大変なんだ。 それでも、他愛の無いような会話一つ一つで救われることだってある。